厚生労働省・ハローワークの一次情報にもとづく解説

教育訓練給付金で、スクール代はどこまで戻るのか

対象は講座単位受講開始の2週間前までに手続きが終わっていないと、条件を満たしても1円も出ません。

スクール比較でいちばん金額が動くのは、割引キャンペーンではなく給付金です。うまく噛み合えば受講料の20%から80%が戻ってきます。 ただ、この制度は「対象校を選ぶ」制度ではありません。対象は講座単位で、しかも受講開始の2週間前までに手続きが終わっていないと、条件を満たしていても1円も出ません。 順番を間違えた人が毎年います。ここでは、判定・金額・手続きの3つを図にして、迷わない順番に並べ直しました。

出典:厚生労働省「専門実践教育訓練給付金のご案内」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、教育訓練給付制度[検索システム](いずれも公的機関の一次情報。制度は改正されるため、申込前に最新版をご確認ください)

まず結論:3種類のどれに当たるかで金額が決まる

教育訓練給付は1種類ではなく3階建てです。あなたが選んだ講座がどの階に登録されているかで、戻る額が4倍変わります。

給付率と上限のちがい 0% 40% 80% 一般 20%・上限10万円 特定一般 40%・上限20万円 (資格取得+就職で+10%=50%) 専門実践 受講中50% +20% 最大80% 年上限64万円
図1:同じ受講料でも、講座がどの区分で登録されているかで戻る額が変わる。専門実践の20%分と10%分は、修了後の資格取得・就職・賃上げを満たしてから追加で支給される。
区分給付率上限雇用保険の加入期間事前手続き
一般教育訓練給付金 20% 上限10万円 通算1年以上 不要
特定一般教育訓練給付金 40% 上限20万円 通算1年以上 必要(受講開始2週間前まで)
専門実践教育訓練給付金 最大80% 年間上限64万円 通算2年以上 必要(受講開始2週間前まで)

専門実践の「最大80%」の中身

80%は一度に振り込まれるわけではありません。3段階の合計です。ここを誤解すると、受講中の資金計画がずれます。

最長3年まで受けられるため、上限まで使い切ると合計192万円になります。ただし年間上限があるので、1年で一気に受け取ることはできません。

自分が対象かどうかを、上から順に判定する

条件は複雑に見えますが、判定の順番を固定すると3分で終わります。下の5問に答えると、3区分のどれに当てはまるか、どこでつまずいているかが出ます。

給付金の対象になるか判定する 5問・入力不要。答えた分だけその場で結果が変わります

1受けたい講座は「給付金対象講座」に登録されていますか

スクール単位ではなく講座単位で決まります。厚生労働省の検索システムで講座名を確認できます。

2雇用保険に入っていますか(過去に入っていた場合も含む)

3教育訓練給付金を受け取るのは初めてですか

4雇用保険の加入期間は通算でどのくらいですか

正確な期間はハローワークで照会できます。転職をはさんでいても、原則として通算されます。

5いまの状況と、受講開始までの日数を教えてください

上の設問に答えると、ここに判定結果が出ます。

この判定は公表されている支給要件を機械的に当てはめたものです。受給できるかどうかを決めるのはハローワークです。 加入期間の通算や適用対象期間の延長など、個別事情で結果が変わることがあります。必ず窓口でご確認ください。

受けたい講座が「給付金対象講座」に登録されているか 厚生労働省の検索システムで講座名を確認(スクール単位ではなく講座単位) 雇用保険に入っている(または入っていた) 加入期間が足りている 初回:一般・特定一般は1年以上/専門実践は2年以上 ※2回目以降は前回から3年以上 すでに退職している場合、期限内か 離職日の翌日から1年以内に受講を開始する(延長制度あり) 専門実践・特定一般なら、事前手続きが2週間前までに終わるか キャリアコンサルティング+ジョブ・カード+受給資格確認票をハローワークへ ここまで全部「はい」なら対象。ひとつでも「いいえ」なら、その条件を先に片づける
図2:上の判定で使っている条件を、順番どおりに並べたものです。3段目の「加入期間が足りている」でつまずく人がいちばん多く、下2段(離職後1年、受講開始2週間前)は、あとから取り返せない期限です。

申請の流れと、絶対に外せない期限

ここがいちばん誤解されます。申し込んでから手続きするのではなく、手続きを終えてから申し込むのが正しい順番です。時間軸で並べます。

申請タイムライン(専門実践の場合) 2週間前まで ハローワーク 事前手続き ・キャリア相談 ・ジョブ・カード ・受給資格確認票 受講開始日 受講料を全額支払う 給付は後払い 6か月ごと 50%分を受け取る 期間終了後1か月以内に 支給申請(毎回必要) 修了 資格取得・就職で+20% その日から1か月以内に申請 賃上げ後 賃金5%アップで+10% 6か月経過日から 6か月以内に申請 一般・特定一般は、修了日の翌日から1か月以内に1回だけ申請する
図3:専門実践は「6か月ごとに毎回申請」が必要です。1回出せば自動で振り込まれ続ける制度ではありません。

やることを順番どおりに

  1. 講座を検索して対象か確認する厚生労働省の教育訓練給付制度[検索システム]で、コース名そのものを検索します。スクール名で出てきても、コースが違えば対象外です。
  2. ハローワークに電話して予約する住所を管轄するハローワークです。専門実践・特定一般は訓練前キャリアコンサルティングの予約が必要で、混みます。受講開始日から逆算して1か月前には連絡してください。
  3. ジョブ・カードを作るキャリアコンサルタントと面談しながら作成します。当日いきなりは作れないので、様式を先に見ておくと早く終わります。
  4. 受給資格確認票を提出するジョブ・カードと本人確認書類を添えて、受講開始日の2週間前までに提出します。この日付が制度の分かれ目です。
  5. スクールに申し込み、受講料を払う領収書と受講証明書は捨てないでください。支給申請でそのまま必要になります。
  6. 期限内に支給申請する専門実践は6か月ごと、一般・特定一般は修了後1か月以内。就職や賃上げの上乗せ分は、それぞれ別の期限で追加申請します。

働いていない人向けの、もう一つの給付金

専門実践の対象講座を受ける45歳未満の離職者には、受講中の生活費にあてる教育訓練支援給付金があります。額は雇用保険の基本手当日額の60%で、2か月ごとに支給されます(令和7年4月1日より前に受講を開始した人は80%)。 これは令和8年度末までの暫定措置なので、使うつもりなら期限を意識してください。受講に専念することが条件で、働きながらは使えません。

ここで失敗する人が多い、5つの落とし穴

スクールごと対象、ではない

対象になるのは講座(コース)単位です。同じスクールでも、対象のコースと対象外のコースが並んでいます。パンフレットの「給付金対象」という表記だけで判断せず、厚生労働省の検索システムで講座名を引いて、対象として登録されているかを自分の目で確かめてください。

全額を先に払う(後払い)

給付金は立て替え方式です。受講料はいったん自分で全額払い、あとから戻ってきます。専門実践なら6か月ごとに分割で戻るので、手元のお金の計画は「全額払える前提」で立ててください。

対象になる費用は入学料と受講料だけ

パソコン代、書籍代、受験料、交通費は教育訓練経費に入りません。「総額の80%が戻る」と考えると計算が合わなくなります。

手続きが1日遅れると1円も出ない

専門実践と特定一般は、受講開始日の2週間前までにハローワークでの手続きが終わっていることが条件です。この期限は後から救済されません。申込よりも先に、まずハローワークの予約を取るのが正しい順番です。

退職してから動くなら1年が期限

離職した人は、原則として離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります(妊娠・出産・疾病などの理由があれば延長できます)。

対象講座を持っているスクール(12校)

どの学校に対象講座があるかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムと各校の公式サイトで当編集部が確認しました。 ただし「対象講座がある」ことと「あなたが検討しているコースが対象」ことは別です。 同じ学校でも、コースやプランによって対象・対象外が分かれます。下の但し書きはそこを書いています。

ここに載っていない学校は、当編集部が確認した時点では対象講座が見つからなかったか、公式に記載がなかったものです。 指定には期限があり、期間が終わると対象ではなくなります。 実際、以前は指定されていたのに現在は期間が終了している講座もありました。 また受講料の一部が戻る「経済産業省のリスキリング事業」は、この教育訓練給付金とは別の制度です。 両方を「給付金」とまとめて紹介しているサイトがありますが、対象講座も申請先も違います。 最終的な可否は講座番号でハローワークに確認してください。

次にやること

制度の側の条件が分かったら、次は「対象講座を持っているスクールのうち、自分の目的に合うのはどれか」です。順番を逆にすると、対象外のコースに申し込んでから気づくことになります。

この記事の位置づけ

当サイトは制度の運営主体ではありません。ここに書いた条件・金額はいずれも厚生労働省およびハローワークの公表資料にもとづきますが、制度は毎年改正されます。 実際の受給可否と金額は、必ず住所を管轄するハローワークで確認してください。当サイトの記載と公的機関の案内が食い違う場合は、公的機関の案内が正です。

文責:編集長 佐倉 透(さくら とおる)/最終確認 2026年7月